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【QA】最近の若い人に流行ってる「映画の倍速再生」についてどう思いますか?

【Q】最近の若い人に流行ってる「映画の倍速再生」についてどう思いますか?

はじめまして。
よろしくお願いします。

最近の若い人は「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視するとかで、「映画を倍速で見る」なんて行動をするらしいんですが…
これについてどう思いますか?

私としては「映画を倍速で見る」なんて信じられないです…。
(私は40代後半です)

それぞれの作品には、間の取り方、テンポ感など、雰囲気の作り込みがあるはずです。
そしてそういうところにこそ、その映画の作り手、つまり監督などが、見る人に感じとってほしいものが込められていると思います。
それを「倍速で見る」なんて、なんだか作り手を冒涜しているというか…。

【A】冒涜はしてないです。ただ昔に比べて「競争原理」がより強くなっただけです。

「タイムパフォーマンスを重視して映画を倍速で見ることによって、作り手の思いがそのまま伝わりづらくなっている」という点はその通りだと思います。

でもこれって別に「若い世代が異様な文化を持っている」という話ではなく、社会環境が変化したので消費者行動にも変化があったというだけの話かと思います!

1:そもそもあなたの時代と現代とでは、「社会に流通するコンテンツ量」が異なる。

そもそも、あなたが若かった頃と現代では世の中のコンテンツ量が異なります。
そこを理解すれば、なぜ若い世代が「倍速再生をするのか」が多少理解できるかと思います。

あなたの若い頃、娯楽メディアといえば何がありましたか?
テレビ、映画館。
あとせいぜいラジオ、漫画、雑誌くらいではないでしょうか。
するとこの頃は、そもそもコンテンツの量が少ないので、これらをいちいち倍速で見る必要性がなかったでしょう。

しかし現代は異なります。
現代は動画コンテンツだけでも
「地上波テレビ」
「アベマなどのネットテレビ」
「ユーチューブやティックトックなどの個人が動画投稿できるサイト」
「17Live、ミラティブ、ツイキャスなどの生配信アプリ」
「街の映画館」
「Netflix、Hulu、Unext、Amazonプライムビデオなどのオンデマンド配信」
などがあります。

音声コンテンツだけでも、
「ラジコ」
「ポッドキャスト」
「キンドルオーディオ」
「Voicy」
「スタンドFM」
「Spoon」
などがあります。

動画や音声ですらない「読む系」のコンテンツも含めると
「ブログメディア」
「ニュースまとめ系メディア」
「紙のマンガ」
「Kindleなどの電子書籍媒体のマンガ」
「マンガ読み放題系アプリ」
などがあります。

コンテンツ量がべらぼうに違うのがわかりますか?

要するに、あなたが若かった頃は「コンテンツとは片手で数えるくらいしかなかった」のですが、現代はもう数えきれないほどに星のかずほどにコンテンツが氾濫しているわけです。

そうなると、ユーザー心理としては、「これ聞いておきたい」「これ見ておきたい」と思うものが大量にあります。
それに加えて「これ気にいるかどうかはわからないけど、いちおうおすすめされたから見ておこうかな?」くらいのものまで含めたら、もうコンテンツを消費する時間が足りなすぎるでしょう。
っとなれば、倍速再生などによってそれを多少補おうとするのは、ごく自然なことだと理解できませんか?

2:そもそもあなたは、自分の意思によって「倍速をしない」と選んでいるわけではない。

あとそもそもですが、今のあなたはまるで倍速しないことを自分の意思によって選んでいることのように語っていますが、それは間違っているかと思います。

あなたは、決して自分の意思によって倍速にしないことを選んでいるわけではありません。
あなたが若かった時代は、まだ映画を倍速で閲覧する方法がなかったというだけです。

当時は映画といえば「映画館で見る」or「テレビで見る」が中心だったかと思います。
すると、どちらも倍速再生という手段がとれません。
だからあなたは、そういう行動をするという発想がなかっただけです。

あなたは決して、若い頃から自分の意思によって「映画とは倍速にせずしっかり見るものだ」という価値観を選んできたわけではありませんよ。
なぜなら当時はそれを選ぶことができる状況になかったわけなのですから、ならばそれは「自分の意思で選んでいる」とは言えないはずです。

今のあなたは「倍速ではみない」と選んでいるつもりかもしれませんが、実際になにかの作品を倍速で10回以上見たことがありますか?
もしあなたが実際に10回以上倍速で映画を見てみて、そのうえで「やはりこのやり方は合わない」と感じたなら、それは自分で選んでいると言えます。
でももしあなたが、自分で映画を倍速で見た経験がないのであれば、それはただただ「自分にとって昔から慣れ親しんでいるやり方を続けているだけ」なので、「自分の意思で選んでいる」とはいえません。

こう考えていくと、あなたが思っている以上に、あなたは別に、自分の意思でそれを選んでいるわけではないんですよ。

話をまとめると…

話をまとめると

  • コンテンツ量があなたの時代とは違うのだから、そういう消費者行動があることは自然なこと
  • あなたは別に自分の意思で倍速にしてないのではなく、あなたの若い頃はそれを選べる環境がなくて、そしてその習慣のまま50歳まで生きたからなんとなく今もそれを続けているというだけ。

これらを総合して勘案すると、「映画を倍速で見る人が出てくるのはごく自然な消費者行動の変化の一環」にすぎず、これ自体に良いも悪いもないかなーと思います!

ただ、冒頭でも言いましたが、倍速で見ることによって作品の雰囲気やテンポ感などをオリジナルのままに感じとれなくなってしまうということはあるでしょうから、「これはいいと気に入った作品だけは、試しに騙されたと思って倍速で見るのやめてみ」「そしたら倍速で見てたときとは感じ方が異なり、何か得られるものが必ずあるよ」みたいな啓蒙活動をするのはいいかもしれませんね!
それだけすれば、それでいいんじゃないでしょうか⭕️

これで、効率を大事にしたい人もハッピー!
作品から何かを感じて欲しい人もハッピー!
みんなハッピー!

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